オーストラリアの5人組パーセルズは、3作目のアルバム『Loved』にも、変わらず楽しそうなディスコ風の踊れるナンバーをたっぷりと収録している。

10年前、5人の仲間たちは本気でチャンスをつかむべく、オーストラリアのサーファーに人気の街バイロンベイから、ヨーロッパの音楽家が集う街ベルリンへと移り住んだ。地球の反対側に5人で渡るには、みんなが同じ波長をもっていることが不可欠だ。彼らは、役割分担に至るまでしっかりと結束していた。ジュールズ・クロメリン(Jules Crommelin、ボーカル / ギター)、ナトール “トト” セレ(Anatole “Toto” Serret、パーカッション)、ルイ・スウェイン(Louie Swain、ボーカル/ キーボード)、ノア・ヒル(Noah Hill、ベース)、パトリック・ヘザーリントン(Patrick Hetherington、キーボード/ ギター/ ボーカル)というメンバー構成である。

その結束が祝福されたかのように、彼らはすぐにフランスのレーベルKitsunéの目に留まり、EPを発表。さらに、パリでのライブを観に来ていたダフト・パンクのトーマ・バンガルテルが彼らを気に入り、2017年に「Overnight」という曲をプロデュース。この曲は彼らにとって初のヒット曲となり、しかもそれはダフト・パンク最後期のプロデュース作品でもあった。初めて“本格的な”スタジオに入った彼らは、ダフト・パンク本人たちの指導を受けるという贅沢な経験をし、そのまま一気にトップシーンへと飛び込んだのだ。

2018年にはセルフタイトルの1stアルバム『Parcels』を名刺代わりにリリースした。その後2021年には『Day/Night』を発表。光と影をテーマにした9曲ずつのセットを、フランスのラ・フレット=シュル=セーヌにある19世紀の邸宅スタジオで録音した。ここはマリアンヌ・フェイスフル(Marianne Faithfull)ニック・ケイヴ(Nick Cave)も訪れた名所である。そして同時期に彼らは、ライブでも大きな評判を得て、2023年までアルバムとツアーを重ねて走り続けた。

その後、半年ほどの休養を取るために全員でオーストラリアへ帰国。家族や友人と過ごしつつも、当然ながらそれぞれが曲のアイディアを書き溜めていた。そして再び集まったときには、すぐにでも新しいアルバムを形にできるだけの素材が揃っていたのだ。そうして完成した『Loved』は、彼らが最も得意とする、ポップ、ディスコ、ファンクを混ぜながら、ラブソングを歌う姿を披露している。冒頭の「Tobeloved」からしてそのエネルギーは全開で、美しいコーラスのイントロが「パーセルズはマルチ・ボーカルのバンドだ」と宣言しているかのよう。続く、スパイシーな「Yougotmefeeling」、甘美な「Safeandsound」シングル曲も、一度聴けば耳に残ること間違いなしだ。

その後、メンバーのうち2人はオーストラリアに拠点を移したが、残りの3人はベルリンに残っており、それでも5人の結束は変わらない。そして、この秋冬に予定されているコンサートのスケジュールを見れば、彼らが再び走り出し、次の10年に突入するのは間違いなさそうだ。

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