Let the Soil Play Its Simple Part

Caroline Shaw & Sō Percussion

発売日 : 2021/06/25 レーベル: Nonesuch
メインアーティスト : Caroline Shaw So Percussion
ジャンル：クラシック
フューチャー： Qobuzissime

提供音質

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キャロライン・ショウ（Caroline Shaw）は、純然たる“アーティスト”の定義にあてはまる人物だ。彼女は、誰かにカテゴライズされることを拒否する。ショウのキャリアは、伝統的な教育を受けたヴァイオリニスト兼ヴォーカリストとしてスタートし、後に作曲とプロデュースの道へと進んだ。そこからカニエ・ウェスト（『The Life of Pablo』、『Ye』）やナズ（『NASIR』）といったアーティストと仕事をし、ザ・ナショナルやアーケイド・ファイアのリチャード・リード・パリーの作品にも参加している。これだけでも印象的な経歴なのに、さらに2013年、ショウは「8声のためのパルティータ」で、史上最年少でピュリツァー賞を受賞した。そして2019年のアルバム『オレンジ』ではグラミー賞を受賞している。

『Let the Soil Play Its Simple Part』は、キャロライン・ショウとコンテンポラリー・パーカッション・アンサンブル、ソウ・パーカッション(Sō Percussion) / エリック・チャ＝ビーチ(Eric Cha-Beach)、ジョシュ・クイレン(Josh Quillen)、アダム・スリヴィンスキー(Adam Sliwinski)、ジェイソン・トルーティング(Jason Treuting)によるコラボレーション作品だ。彼らは3日間、無償でスタジオを使わせてもらい、この多彩で輝きに満ちた、そして時に驚きに満ちたアルバムを完成させた。このアルバムは、ジェイムズ・ジョイス、賛美歌、アン・カーソンの詩、聖書のルツ記、ゴスペルのスタンダード「I'll Fly Away」、ABBAのポップの名曲など、彼らの多彩な興味がインスパイアされた歌詞を持つ曲の寄せ集めだ。

オープニング・トラックの「To the Sky」は、アン・スティールによる賛美歌から歌詞をとっている。このアルバムは、シンセサイザー、ドラム、マリンバのリズムが散発的に使われ、心に染み入る瞑想のように始まる。ショウは「この（賛美歌が）特に好きなの。“１時間だけのか弱い慰め／だからすぐに私たちのはかない慰めは飛び去り／快楽は枯れるために咲く”という一節がある。それははかないものに対する瞑想で、私はそれが大好きなの」という。この曲は2曲目の「Other Song」へと続くが、これも同じようなリズムのグルーヴを持ち、ショウのヴォーカルと彼女自身が書いた歌詞が添えられている。タイトル・トラックは、先に述べた驚きの一つで、ショウとジョシュ・クイレンによるシンプルなデュエットであり、わずか2テイクで完成したという。クイレンの演奏は繊細でありながら洗練されており、ショウが失った愛する人をほうふつとさせる歌詞をクイレンに渡し、クイレンがスティール・ドラムに共鳴するメロディを柔らかなラインで叩き返すと、2人のアーティストの間でエネルギーが飛び交っているのを感じる。

「The Flood is Following Me」の歌詞は、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』から引用したもので、文字通り”洪水が私を追ってくる”という意味だ。シンプルだが効果的で、インディー・ポップに影響されたバッキングが添えられている。ポップ・ミュージックといえば、ABBAのヒット曲「Lay All Your Love on Me」をソウとショウが解釈し、これがもう一つの美しいサプライズとなっている。おなじみのメロディの後、ショウのバッキング・ハーモニーを伴ったバッハのコラールへとスパイラルしていく。この曲は、新旧が融合し、古典を現代的かつ繊細に解釈することによって、徐々に緊張感を高めていく。本当に今までにないものだ。アルバムが進むにつれて、各曲はその前の曲を進化させていくかのように思える。「Long Ago We Counted」は、ジェイソン・トルーティングのドラムとソロ・ボイスのデュエット曲で、冒頭は荒々しくわかりにくいが、インディー・ロック型のトラックに落ち着くと、なぜか私たちはこの転がるようなヴォーカル・ループに誘われる。アルバムの締めくくりとなる「Some Bright Morning」は、12世紀の典礼歌に基づくもので、ショウとソウ・パーカッションのねじれたトンネルの先にある輝かしい一筋の光である。ハモンド・オルガンのチャ＝ビーチによるドローンが、響き渡るヴォーカル・ラインを支え、シンプルだが力強いアルバムの締めくくりとなっている。

クレジットに目を通すと、歌詞に貢献したさまざまなインスピレーションの数々が見つかる。聴けば聴くほど、このアルバムは、現代クラシック、インディー・ポップ、ロックのリズム、ワールド・ミュージックのインスピレーション、そして文字通りその間にあるあらゆるものからなる、一つの多面的な傑作へと展開している。テキストを理解し、その言葉に全く新しい意味とユニークな設定を構築するショウの才能は比類ない。キャロライン・ショウとソウ・パーカッションの名人芸を完全に理解するには、時間をかけてアルバムの隅々まで探る必要がある。© Jessica Porter-Langson/Qobuz

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Let the Soil Play Its Simple Part

Caroline Shaw

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